個人事業主は確定申告がいくらから必要か|収入ではなく所得で判断する考え方と、基礎控除の額(令和8年分)
調査日 2026-10-25・公開日 2026-10-25
結論迷っているあなたへ、先に答えを書きます
事業所得だけがあり、所得が基礎控除などの所得控除に収まる人は、手引きの計算では税額が残らない。所得税の申告義務は生じない読み方になる
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読む前に押さえる点
- 線を引くのは「収入」ではなく「所得」。事業所得は 総収入金額 − 必要経費
- 事業所得がある人は、所得の合計から所得控除を引いて、税額が残るなら申告が必要
- 基礎控除は令和8年分から最大104万円(令和7年分は最大95万円)
- 申告が要らない場合でも、還付申告や住民税の申告は別に考える
対象となる人開業したばかり、または副業から独立した個人事業主・フリーランス。今年は申告が必要か迷っている人
見落とすと困る点この記事は、国税庁の案内を2026年10月25日に確認してまとめたものです。控除の額は、基礎控除以外の所得控除によっても変わります。実際の判断は、国税庁の確定申告書等作成コーナーか、所轄の税務署でも確かめてください。
あなたの場合はどれ?(条件別の選び方)
国税庁のNo.2020と令和7年分の手引き、No.1199を2026年10月25日に確認した場合
- 事業所得だけがあり、所得が基礎控除などの所得控除に収まる人
- 手引きの計算では税額が残らない。所得税の申告義務は生じない読み方になる
- 所得から所得控除を引いても残りが出る人
- 確定申告が必要。申告期間は原則2月16日から3月15日
- 給与もある副業の人
- 個人事業主向けの計算ではなく、給与所得者の条件(20万円)を見る
- 申告義務はないが、源泉徴収された税がある人
- 還付申告で戻る場合がある。住民税の申告は別に確認する
この記事の内容
「個人事業主は、収入がいくらから確定申告が必要ですか」という質問は、よくあります。先に答えを書くと、国税庁の案内は、収入に金額の線を引いていません。見るのは、収入ではなく所得です。
この記事では、国税庁の案内をもとに、申告が必要になる考え方と、基礎控除の額を整理します。確認日は2026年10月25日です。
結論:「収入がいくら」ではなく「所得が控除に収まるか」
国税庁の「確定申告が必要な方」の手引きは、事業所得や不動産所得などがある人を、次の計算で説明しています。
- 各種所得の合計額から、所得控除を差し引いて、課税所得金額を出す
- 課税所得金額に税率を掛けて、所得税額を出す
- そこから配当控除額を差し引く
- 残額があれば、確定申告が必要
つまり、所得控除を引いても課税所得金額が残らなければ、手引きの計算では税額が出ません。
この手引きは、令和7年分のものです。No.2020(令和8年4月1日現在の法令等)にも同じ趣旨の記載があります。所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合に、申告が必要になります。
確認した範囲では、事業所得の人向けの説明に、「◯万円以上」という金額の線は書かれていませんでした。
所得の出し方
事業所得の金額は、次の式で計算します(No.1350)。
総収入金額 − 必要経費 = 事業所得の金額
売上がそのまま所得になるわけではありません。経費を引いた後の金額が所得です。
青色申告特別控除を受ける場合は、事業所得などの金額から、さらに差し引きます。No.2072には、「不動産所得の金額、事業所得の金額から順次控除します」とあります。控除額は、10万円、55万円(要件を満たせば65万円)です。
青色申告の控除額の違いは、青色申告と白色申告の違いで比べています。令和9年分からの変更は、青色申告特別控除の75万円にまとめました。
基礎控除の額
所得控除のひとつが基礎控除です。No.1199の表では、本人の合計所得金額に応じて、次の額になります。
| 本人の合計所得金額 | 令和7年分 | 令和8年分・令和9年分 | 令和10年分以後 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 104万円 | 99万円 |
| 132万円超336万円以下 | 88万円 | 104万円 | 62万円 |
| 336万円超489万円以下 | 68万円 | 104万円 | 62万円 |
| 489万円超655万円以下 | 63万円 | 67万円 | 62万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 58万円 | 62万円 | 62万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
令和6年分以前は、2,400万円以下で48万円です。令和元年分以前は、所得にかかわらず一律38万円です。
国税庁の表の見出しは、「令和8年分」「令和9年分」「以後」が並ぶ書き方になっています。この記事では、令和8年分・令和9年分の列として載せました。令和10年分以後は、別の列です。
令和8年分の規定は、2026年12月1日に施行されます。国税庁のQ&Aによると、令和8年分以後の所得税に適用されます。
令和8年分は、2027年の春に申告する分です。これから申告する個人事業主が使う額は、合計所得金額が132万円以下から489万円以下の範囲で、104万円です。
計算例:基礎控除だけの場合
次の例は、この記事での計算例です。国税庁が示した例ではありません。事業所得だけがあり、所得控除は基礎控除のみ、という前提です。
| 例 | 収入 | 経費 | 所得 | 基礎控除(令和8年分) | 差し引き |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 100万円 | 10万円 | 90万円 | 104万円 | 引ききれる(課税所得金額なし) |
| B | 150万円 | 30万円 | 120万円 | 104万円 | 16万円が残る |
例Aは、所得が基礎控除より小さいので、課税所得金額が残りません。例Bは、16万円が残るので、税額が出ます。手引きの計算では、申告が必要な側に入ります。
実際には、基礎控除のほかにも所得控除があります。青色申告特別控除も所得から引けます。該当するものがあれば、残りはもっと小さくなります。
逆に、他の所得が加わると、合計所得金額が大きくなり、残りが出やすくなります。
どんな人が、どの条件を見るか
| 状況 | 見る条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 事業所得だけがある | 所得 − 所得控除 − 配当控除に残額があるか | 手引き④ |
| 給与をもらいながら副業をしている | 給与所得者の条件(給与以外の所得が20万円を超えるか等) | 手引き① |
| 公的年金等の収入がある | 年金収入400万円以下で全部が源泉徴収の対象、かつ他の所得が20万円以下か | No.2020 |
| 源泉徴収された税がある | 還付申告で戻る場合がある | No.2030 |
副業で給与がある人は、20万円の線で考えます。会社員の副業については、副業の確定申告に条件と住民税の扱いをまとめています。
申告が不要でも、関わる3つの手続
還付申告
申告の義務がなくても、還付を受けられる場合があります(No.2030)。源泉徴収された所得税が、年間の税額より多いときです。これを還付申告といいます。
提出は、翌年1月1日から可能です。提出できる期間は5年間です。ただし、青色申告特別控除などの特例を受けるときは、法定申告期限(原則3月15日)までの提出が必要です。
源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0の人は、申告しても還付はありません。
青色申告特別控除の55万円・65万円
No.2072によると、55万円の控除は、その年分の確定申告期限(翌年3月15日)までに申告書を提出する必要があります。65万円の控除の要件にも、提出期限の記載があります。
10万円の控除には、同じ記載がありませんでした。このページからは、10万円控除の提出期限は判断できません。
住民税の申告
所得税の確定申告が要らない場合でも、住民税の申告は別の手続です。確定申告をした人は、住民税の申告を改めて出す必要はありません。
住民税の税率や納める時期は、個人事業主の住民税と個人事業税で整理しています。
申告が必要になったときの準備
申告が必要だと分かったら、書類と帳簿を早めにそろえておくと安心です。必要なものは、確定申告に必要なものにチェックリストでまとめました。
開業届や青色申告承認申請書をまだ出していない人は、開業届と青色申告承認申請書の流れも確認してください。
予定納税の対象になる人は、予定納税の解説で、納める時期と減額申請も確認できます。
帳簿を会計ソフトでつける場合は、会計ソフト比較と無料で使える確定申告ソフトが参考になります。
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事業用の住所を自宅以外にする場合は、開業届の納税地とバーチャルオフィスも関係します。
申告の期間と期限は、確定申告の期間と期限にまとめています。
よくある質問
年収100万円以下なら、申告しなくてよいですか
国税庁の案内は、収入に線を引いていません。収入から経費を引いた所得で、所得控除に収まるかを見ます。この記事の例Aのように収まる場合は、手引きの計算で税額が残りません。ただし、他の所得があるときは前提が変わります。
20万円以下なら申告不要、というのは個人事業主にも当てはまりますか
20万円の条件は、手引きの給与所得者(①)の説明に書かれています。事業所得などがある人向けの④の説明には、20万円の条件は書かれていませんでした。副業で給与がある人は、①の条件で見ます。
赤字なら申告しなくてよいですか
赤字なら、所得から所得控除を引いても残額が出ません。手引きの計算では、税額が出ない側です。赤字を翌年に繰り越せるかどうかは、この記事では確認していません。
申告の期間はいつですか
No.2020では、原則として翌年2月16日から3月15日までです。申告・納付の期限は、原則として翌年3月15日です。
この記事で確認できなかった点
- 令和8年分の「確定申告が必要な方」の手引き。確認できたのは令和7年分の手引きです。No.2020の基準日は令和8年4月1日です。
- 事業所得の人が、白色申告の場合と青色申告の場合とで、申告の要否の判断が変わるかどうか。確認した説明には、区別が書かれていませんでした。
- 赤字の繰越しなど、申告しないと使えなくなる特例の全体。
- 国民健康保険料や、各種の手続で使う所得の証明との関係。
これらは、所轄の税務署か、国税庁の確定申告書等作成コーナーで確かめてください。
公式サイト・申込窓口
調べた資料(2026-10-25 時点)
- 国税庁 No.2020 確定申告 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
- 国税庁 確定申告が必要な方(令和7年分の手引き) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_06.htm
- 国税庁 No.1199 基礎控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
- 国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
- 国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm
- 国税庁 No.2072 青色申告特別控除 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁 No.2030 還付申告 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm



