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税務

バーチャルオフィス代の勘定科目と仕訳|12社の請求項目を国税庁の基準で整理

調査日 2026-09-22・公開日 2026-09-22(更新日 2026-09-30)

結論迷っているあなたへ、先に答えを書きます

年払い・前納で12か月分をまとめて払う人は、短期前払費用の条件(1年以内・継続して)に当てはまるかを確かめる

会計ソフト3社の比較を見る
14調べた資料
09/22調査日(2026年)
11節の構成
  1. 1勘定科目そのものを定めた法令は見つかりませんでした
  2. 2国税庁が示している「必要経費」の範囲
  3. 312社が実際に請求している項目
  4. 4年払い・前納をいつの経費にするか
  5. 5入会金・初期費用は、支払った年の経費とは限らない
  6. 6仕訳の例

読む前に押さえる点

  • 国税庁が示している必要経費の範囲(勘定科目そのものを定めた法令は見つからなかったこと)
  • 12社が実際に請求している項目
  • 年払い・前納、入会金、保証金・デポジット、郵便転送の実費をいつの経費にするか
  • 仕訳の例

対象となる人バーチャルオフィス代の帳簿のつけ方を確かめたい個人事業主・法人

見落とすと困る点年払い・前納や入会金は、支払った年の経費になるとは限りません。運営者は税理士ではないため、個別の処理は税理士または税務署に確認してください。

あなたの場合はどれ?(条件別の選び方)

12社の請求項目を、国税庁のタックスアンサーと所得税法施行令の記載に照らして整理した場合

年払い・前納で12か月分をまとめて払う人
短期前払費用の条件(1年以内・継続して)に当てはまるかを確かめる
入会金・初期費用を払う人
繰延資産に当たるかを、入会金の性質と契約の内容で確かめる
保証金・デポジットを預ける人
返金されるかを規約で確かめる。返ってくるお金なら支払った時点では資産
インボイスが必要な人
12社の料金ページには記載がないため、申込前に各社へ直接確かめる
この記事の内容
  1. 勘定科目そのものを定めた法令は見つかりませんでした
  2. 国税庁が示している「必要経費」の範囲
  3. 12社が実際に請求している項目
  4. 年払い・前納をいつの経費にするか
  5. 入会金・初期費用は、支払った年の経費とは限らない
  6. 仕訳の例
  7. バーチャルオフィスのデポジット・保証金の勘定科目と仕訳は「返ってくるお金」かどうかで変わる
  8. 郵便転送の実費は都度発生する
  9. 個人事業主が自宅と併用している場合
  10. よくある質問
  11. 契約前に見ておくとよいところ
  12. 調べた資料

バーチャルオフィス代の勘定科目を調べると「支払手数料が一般的」という説明が並びます。ただ、実際に帳簿をつけるときに迷うのはそこではありません。年払いで12か月分をまとめて払った分をいつの経費にするのか、保証金やデポジットは経費になるのか。この2つです。

この記事は、12社が実際に請求している項目を並べたうえで、国税庁のタックスアンサーに何が書いてあるかを示します。運営者は税理士ではありません。個別の処理の可否は、税理士または所轄の税務署で確かめる必要があります。税理士の探し方は、税理士の探し方と費用にまとめています。

勘定科目そのものを定めた法令は見つかりませんでした

まず前提です。この記事で参照した国税庁のタックスアンサーは、次の3ページです。No.2210 必要経費の知識、No.5380 短期前払費用、No.7191 登録免許税の税額表。この3ページに、「バーチャルオフィスの利用料はこの勘定科目を使う」と指定する記載はありませんでした。確認したのは2026年9月22日時点です。走査したのはこの3ページだけで、タックスアンサー全体を網羅したわけではありません。

国税庁が示しているのは、勘定科目の名前ではなく何が必要経費になるかといつの経費になるかです。順に見ます。

なお「支払手数料を使うのが一般的」という説明をよく見かけますが、これは法令で決まっているものではなく会計上の慣行です。12社の料金ページを見ると、表記は「月額基本料金」「利用料金」「月額」です。賃料・家賃という言葉を使っている社はありませんでした。これは2026年9月21日時点で、12社の公式料金ページを確認した結果です。どの科目を使うにしても、同じ性質の支出には同じ科目を使い続けることのほうが、科目名の選択より実務上は重要です。

国税庁が示している「必要経費」の範囲

必要経費に算入できる金額は、次の2つです(No.2210、令和8年4月1日現在法令等)。

  1. 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  2. その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

事業のために借りた住所の利用料は、通常2のほうに当たります。税金や10万円以上の備品など、経費の範囲全体は個人事業主の経費と家事按分で整理しています。

12社が実際に請求している項目

各社の公式サイトに2026年9月21日時点で掲載されていた内容です。金額はすべて税込(和文化推進協会のみ税別表記)。

サービス 月額 初期費用(入会金・登録料) 保証金・デポジット
和文化推進協会 500円(税別) 記載なし 記載なし
バーチャルオフィス1 880円(年間契約) 5,500円(初年度のみ) 0円
レゾナンス 990円〜 5,500円(条件により0円) 1,000円〜(解約時返金)
NAWABARI 1,100円(年間一括13,200円) 5,500円(初回のみ) 0円
METSオフィス 1,430円(ビジネスプラス・12か月一括) 3,850円 0円
GMOバーチャルオフィス 1,650円(月1転送) 0円 0円
デジラボ 2,200円(年払い26,400円÷12。公式の「月額換算」表記は2,220円) 2,200円 記載なし
ユナイテッドオフィス 2,310円(12ヶ月前納) 5,500円 郵便デポジット10,000円(12ヶ月前納時・退会時に精算のうえ返金)
DMMバーチャルオフィス 2,530円〜(30,360円/年 一括前払い) 5,500円(初月のみ) 0円
Karigo 4,700円〜(WHITEプラン。店舗により異なる) 5,500円〜(店舗により異なる) 記載なし
ナレッジソサエティ 4,950円 16,500円 30,000円
ワンストップビジネスセンター 5,280円(エコノミー) 10,780円 記載なし

この表を見ると、支払いは性質の違う3種類に分かれます。

  • 毎月の利用料:その月のサービスに対する対価
  • 入会金・初期費用:契約時の一時金
  • 保証金・デポジット:預けるお金

そして多くの社で、利用料の支払い方が年払い・前納になっています。ここが実務上いちばん影響します。

年払い・前納をいつの経費にするか

12社のうち、年払いまたは前納の仕組みがあるのは次の社です。

サービス 一括払いの内容
DMMバーチャルオフィス ベーシック年間契約 30,360円/年 一括前払い(半年契約は23,100円〜の一括前払い)
デジラボ 年払いコース 26,400円/年(半年払いコース 16,500円/半年)
NAWABARI ネットショップ運営プラン 年間一括13,200円(ビジネスプラン年間契約は一括19,800円)
バーチャルオフィス1 月額880円は年間契約の料金
レゾナンス 1年払いコース(入会金0円キャンペーンの対象)
METSオフィス 12か月一括払い
ユナイテッドオフィス 12ヶ月前納・6ヶ月前納
ワンストップビジネスセンター 銀行振込で1年分一括払いすると月額1か月分無料

国税庁は、必要経費の算入時期について次のように示しています(No.2210)。

必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。

そして「その年において債務が確定している」とは、次の3つをすべて満たす場合とされています。

  1. その年の12月31日までに債務が成立していること
  2. その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
  3. その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること

同ページには、次のようにも書かれています。「その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりません」

法人の場合について、国税庁は前払費用の扱いを別に示しています(No.5380、根拠は法人税基本通達2-2-14)。

前払費用とは、法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。 前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金の額に算入すべきものです。

ただし例外があります。

法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、上記の「前払費用」にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。

これが短期前払費用と呼ばれる扱いです。「1年以内」と「継続して」という2つの条件が書かれている点に注意してください。年によって処理を変えることは想定されていません。

12か月分をまとめて払ったとき、その全額をその年の経費にできるかどうかは、この条件に当てはまるかで変わります。当てはまるかどうかの判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

入会金・初期費用は、支払った年の経費とは限らない

12社の入会金は0円(GMOバーチャルオフィス)から16,500円(ナレッジソサエティ)まで幅があります。金額としては大きくありませんが、支払った年に全額を経費にできるとは限らないという論点があります。

所得税法施行令第7条第1項は、繰延資産になる費用として次のものを挙げています。

三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの  ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用  ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用

繰延資産になった場合の必要経費の計算は、同令第137条第1項第2号にあります。「その繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間の月数で除し」た金額を、各年に配分することになります。月数は暦にしたがって計算し、1月未満の端数は1月とされます(同条第2項)。

入会金がこれに当たるかどうかは、その入会金がどういう性質のものか、契約がどうなっているかによります。返還されない一時金なのか、初月分の利用料を含むのか、社によって設計が違います。12社の料金ページには「入会金」「初期費用」「初回登録料」といった名称しか書かれておらず、性質までは読み取れません。入会金が繰延資産に当たるかは、税理士または所轄の税務署に確かめてください。

なお、事業を始める前に支出したものについての定めもあります。同令第7条第1項第1号は、開業費を「事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」と定義しています。開業費の必要経費算入には、同令第137条第3項に次の定めがあります。

居住者が、第一項第一号に掲げる繰延資産につきその年分の…必要経費に算入すべき金額として、当該繰延資産の額の範囲内の金額をその年分の確定申告書に記載した場合には、同号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、当該金額として記載された金額とする。

開業前にバーチャルオフィスを契約したケースがこれに当たるかどうかも、個別の判断になります。

仕訳の例

勘定科目の名前は法令で決まっていません。以下は、性質ごとに分けて記録するとどうなるかという例です。実際にどの科目を使うかは、使っている会計ソフトの科目体系や顧問税理士の方針に合わせてください。大切なのは科目名の選択より、同じ性質の支出を毎回同じ扱いにすることです。会計ソフトをこれから選ぶ場合は、個人事業主の会計ソフト比較に3社の料金と機能をまとめています。

月額利用料をクレジットカードで支払った場合(GMOバーチャルオフィス 月1転送プラン 1,650円の例)

借方 金額 貸方 金額
支払手数料 1,650 未払金 1,650

郵便物の転送実費が別途かかった場合(GMOバーチャルオフィス 150g以下 330円/回の例)

借方 金額 貸方 金額
通信費 330 未払金 330

転送の実費は郵便の送料にあたるものなので、利用料とは別の科目で記録する例です。

保証金・デポジットを預けた場合(レゾナンス デポジット1,000円の例)

借方 金額 貸方 金額
差入保証金 1,000 普通預金 1,000

預けた時点では費用になりません。転送料金に充当されて減った分が、その都度の費用になります。解約して返金されたときは、差入保証金を減らして預金を増やす記録になります。

年払いで12か月分を支払い、決算日をまたぐ場合(デジラボ 年払いコース 26,400円の例)

10月1日に支払い、12月決算とします。

原則的な処理では、当期にあたる3か月分が当期の費用です(26,400円×3/12=6,600円)。翌期にあたる9か月分は、前払費用として資産に残ります(26,400円×9/12=19,800円)。

借方 金額 貸方 金額
支払手数料 6,600 普通預金 26,400
前払費用 19,800

ただし前述の短期前払費用(国税庁 No.5380)の条件を満たす場合もあります。その場合は、支払時点で全額を損金にすることが認められています。どちらの処理になるかは、条件に当てはまるかで変わります。

バーチャルオフィスのデポジット・保証金の勘定科目と仕訳は「返ってくるお金」かどうかで変わる

12社のうち、返金されることが公式サイトに明記されているのは次の2つです。

  • レゾナンス:デポジット1,000円〜。転送料金・対面受取費用に充当され、解約時に返金
  • ユナイテッドオフィス:郵便デポジット初回5,000円以上(12ヶ月前納の場合は10,000円)。退会時に精算のうえ返金

返ってくるお金は、支払った時点では費用ではなく預けた資産です。充当されて減った分がその都度の費用になります。ナレッジソサエティの保証金30,000円は、公式の料金ページに金額の記載があります。ただし、返金条件までは確認していません。返金されるかどうかは、契約前に各社の規約で確かめてください。

ワンストップビジネスセンターには、電話転送のオプションに通話料のデポジット5,000円(税込)があります。これもオプションを使う場合の預け金です。

郵便転送の実費は都度発生する

月額とは別に、郵便物を転送するたびに料金がかかる社があります。各社の単価は、第1弾の郵便物の転送料金の記事にまとめています。経費処理の観点では、月額と転送実費は発生するタイミングが違うという点が重要です。

たとえばナレッジソサエティは、月額4,950円とは別に料金がかかります。到着通知1,100円/月、スポット転送1,100円/回、リアルタイム転送4,400円/月です。GMOバーチャルオフィスは定期転送料金が150g以下330円/回、150g超〜500g以下550円/回です。

個人事業主が自宅と併用している場合

自宅を事業にも使っていて、バーチャルオフィスは住所の公開用にだけ使っている、という形は珍しくありません。国税庁は家事関連費について次のように示しています(No.2210)。

個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。 この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。

バーチャルオフィスの利用料そのものは事業用の住所に対する支出なので、通常は家事関連費には当たりません。自宅の家賃や光熱費を按分する場合の考え方は、個人事業主の経費と家事按分にまとめています。

よくある質問

勘定科目は「地代家賃」でもよいですか

法令で使う科目が決まっているわけではありません。ただ、12社の料金ページの表記は「月額基本料金」「利用料金」「月額」です(2026年9月21日時点)。賃料・家賃という言葉を使っている社はありませんでした。契約の性質が不動産の賃貸借なのか住所利用のサービスなのかは、各社の利用規約で確かめられます。

年払いした12か月分を、支払った年に全額経費にできますか

国税庁は、前払費用を原則として支出時に資産計上するものとしています(No.5380)。そして、役務の提供を受けた時に損金算入すべきものとしています。そのうえで、例外の条件を示しています。支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものであること。その額を継続して支払った日の属する事業年度の損金にしていること。この場合には、支払時点での損金算入が認められるとしています。

保証金・デポジットは経費になりますか

返ってくるお金であれば、支払った時点では費用ではなく預けた資産です。公式サイトに返金の記載があるのは次の2つです。レゾナンスのデポジット(解約時返金)と、ユナイテッドオフィスの郵便デポジット(退会時に精算のうえ返金)です。ナレッジソサエティの保証金30,000円は、利用料金ページに金額の記載があります。ただし、返金に関する記載は見当たりませんでした(2026年9月22日、同ページ全文を確認)。

適格請求書(インボイス)は発行されますか

12社の料金ページのHTMLを検索しました(2026年9月22日)。その範囲では、「インボイス」「適格請求書」に触れている社はありませんでした。ただし走査したのは各社の料金ページだけで、FAQページ・利用規約・申込フォームは確認していません。また、JavaScriptで後から読み込まれる部分は検索の対象外です。必要な場合は申込前に各社へ直接ご確認ください。

個人事業主ですが、自宅も仕事に使っています。両方経費にできますか

バーチャルオフィスの利用料は事業用の住所に対する支出なので、通常は家事関連費には当たりません。自宅の家賃や光熱費のほうは家事関連費に当たります。国税庁は、必要経費になるのは次の金額に限られるとしています(No.2210)。「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」

入会金は支払った年の経費になりますか

支出の効果が1年以上に及ぶものは繰延資産になる場合があります(所得税法施行令第7条第1項第3号)。繰延資産になった場合は、支出の効果の及ぶ期間の月数で按分することになります(同令第137条第1項第2号)。入会金がこれに当たるかは、契約の性質によります。

契約前に見ておくとよいところ

  • 年払いか月払いか。年払いなら途中解約時に返金があるか。DMMバーチャルオフィスは、年間契約・半年契約とも一括前払いです。途中解約時の返金なしと公式に記載しています
  • 入会金が初年度のみか、更新のたびにかかるか
  • 保証金・デポジットが返ってくるものか、返ってこないものか
  • 月額に郵便転送が含まれるか、都度実費か

料金そのものの比較はバーチャルオフィス比較12社にまとめています。

公式サイト・申込窓口

調べた資料(2026-09-22 時点)

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